1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/19(火) 21:41:52.21 ID:
qpRp+mI80 夕暮れの公園。二人の男子生徒が少し痛んだ木のベンチに並んで座っていた。
学園都市の日常は、何から何まで非日常的である。
ベンチに腰掛けた男子生徒のひとり、磯野カツオはそう思った。街を行きかうのは車ではなく清掃ロボ、授業ではわけのわからない論文の勉強をし、
注射により血中に薬物を投与・脳天に電極をぶっ刺して弄繰り回した挙句手に入れた超能力を使った犯罪が多発しているなんて、「外」の世界の人間が知ったら卒倒するかもしれない。
と、そこでなかば「中」の環境が自分の中でデフォルトになりつつある事に気付かされ、ため息をつく。
「どうしたんだ?磯野。ため息なんかついちゃって。らしくないなぁ。」
ベンチに腰掛けたもう一人の男子生徒中島は大学か企業かどこかよく分からないところの甘いのか辛いのか名前からでは味が判断できないような不思議なジュースを飲んでいる。
「ちょっとね・・・。僕の望んだ環境はここで間違ってなかったのかなって思っちゃっただけさ。」
両親の反対を押し切ってでも学園都市の中学に進学した理由は、テレビで見た大覇星祭の超能力に憧れたというこれ以上ないほど単純な理由であった。でもこれじゃ・・・と、中島の声が磯野の思考をさえぎる。
「お前の思ってることを当ててやるよ。頭ん中に機械突っ込んだりわけわかんない薬飲まされたりこれじゃまるでモルモットだ!ってね。」
図星を突かれて思わずギョっとする。ふふん、と自慢げに中島が鼻を鳴らす。
「お前と何年の付き合いになると思ってるんだよ。そのくらいお見通しさー」
「ははっ。中島には敵わないなぁ」
「仕方ないよ、まだここに来て半年も経ってないんだ。そのうち慣れるさ。それにお互いレベル1になれただけ十分だろ。6割の人間がレベル0だって聞いたぜ?」
そうだな、と言い少し間を置いて空を仰ぎ磯野はまたため息をつく。
「はぁ・・・元気だせよ。そうだ!磯野、今日この後空いてるか?ゲーセン行こうぜ!」
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